記事6「かいちょ~との関係 ── 合わせ鏡の二人」

霧隠ラントとジンペイは、一見して全然違うキャラに見える。片や冷静でクールに振る舞うイケメン、片や破天荒で騒がしいおちゃらけ主人公。初期はギスギスしていて、特にゲーム版では直接的な煽り合いもある。

でも少し引いて見ると、似ている部分がある。

どちらも「外向きに見せる自分」を構築している。どちらも場や人心を掌握しようとする傾向がある。どちらも本音を他人に見せることが少ない。

ただし構造は全然違う。

ラントは自覚的だ。目的のために必要なときに全力でガワを被り、騙す意図がある。キャラを作っていることを自分でわかっている。

ジンペイは「わかっていない設定」を自分に課している。映画での「先輩の正体、暴いてあげます」という発言や、ED曲の「ボイチャ禁止でお願いしたら草が生えてる」という歌詞を見る限り、本来は察知できているはずの場面がある。それでも「何も考えていない」という設定を厳しく維持している。認知からの逃避、という言い方が近い。

表面上は「自覚あり vs 自覚なし」に見えるが、実態は「自覚あり vs 自覚があることから逃げている」だ。

ラントがジンペイに対してクソデカ感情を持つようになるのには、それなりの経緯がある。

幼少期、家族が宇宙人に消滅させられた場面に、ジンペイが精神ダイブにより介入してラントを助けている。当時ラントからはジンペイの顔が見えていなかったため、長い間「あのときの謎のヒーロー」と「目の前のジンペイ」は別人として存在していた。それが後の話数で判明する。さらに本編中、ジンペイは精神ダイブでラントの過去のトラウマにも介入している。

幼少期の救済、本編での救済、そして正体の判明。三重の経緯がある。それでもラントはジンペイを苗字呼びで通している。救い主として特別視しているがゆえに、名前で呼べないのかもしれない。

一方ジンペイ側は、ラントのことを戦闘では頼れる相手として信頼しているが、個人的にそこまで好かれているとは思っていない様子がある。ラントの感情の重さと、ジンペイの認識が全く噛み合っていない。

初対面でラントがジンペイを警戒し敵視したのも、今思えば合点がいく。自分と似た匂いがする、でも全然違う動き方をしてくる。しかも結果的に自分を救ってしまった。同族嫌悪と憧れと感謝と引っかかりが全部混線した結果が、あの塩対応と苗字呼びの維持なのかもしれない。

合わせ鏡、と言っても映し方が違う。ラントは自分を見て「違う」と思い、ジンペイは気づかない。