ジンペイの口調を整理すると、少なくとも五つに分類できる。
ひとつめは幼少期の口調。5歳の回想シーンで確認できる喋り方で、感情と思考が直結しており、素直で丁寧だ。泣きながらでも「なんで父さんは、自分が痛い思いをしても誰かを助けるの?」と論理的な問いを立てられる。語尾は柔らかく、子どもらしいが甘えは少ない。
ふたつめは現在の口調。「~だぜ!」「よっしゃー!!俺がやってやるぜ!!」など、明るくテンション高め。ただし粗雑ではなく、目上の他人には敬語を使う。「はい!」とはっきり返す場面もあり、「~っス」のようなあいまいな語尾は使わない。
みっつめはコマくん専用の口調。現在の口調より穏やかでかわいらしく、甘えたニュアンスがある。語尾が「~だよ」「~だね」など丸みを帯びる。おちゃらけが少なくなり、素直な感情が出やすい。元々小学生以前のジンペイはこの口調だった。つまりコマくんの前では「戻ってしまう」に近い。
よっつめはシリアスモードの口調。静かで落ち着いたトーンで、言葉選びが真剣になる。人目のないシーンや極限状態で出てくる。「父さん…俺強くなるよ…母さんみたいに」など。直後に誰かに声をかけられると即座に現在の口調に戻る切り替えの速さがある。
いつつめは父さんエミュの口調。他人を説得するときに出てくる。演劇がかった言い回しになり、語彙が古典的になる。「この世に『たまたま』なんてない」など。父親の言葉を参照している可能性がある。
この五つは「キャラ設定として明示されているもの」ではなく、描写から帰納的に導き出せるものだ。
重要なのはどれも「ジンペイ本人」だということだ。使い分けているのではなく、状況や相手によって違う層が出てくる。幼少期の口調が今もコマくんの前で出てくることは、その層がまだ生きていることを示している。父さんエミュの口調が説得のたびに出てくることは、その層がジンペイの中で「最も信頼できる言葉」として機能していることを示している。
口調の数だけ、ジンペイの内面に地層がある。普段の明るいハイテンションは、その一番外側の層に過ぎない。