コマくんについて書くのは難しい。ジンペイとの関係性を語ろうとすると、必然的にジンペイの内面の話になってしまうからだ。でもそれはある意味で、コマくんがジンペイにとってどういう存在かを示している。
コマくんはコマさんの転生体で、落語家の家出身だ。落語の才能はなく、勉強も特別得意というわけではない。でも初対面の人に対しても礼儀正しく、ジンペイの無茶振りや甘えを受け止め続ける。ED曲「宇宙神秘ブギ」の歌詞には「困り果てたピエロ」という表現があり、コマくんを指しているとも読める。
ジンペイとコマくんはどちらもYSP基準という妖力枠で入学しており、この枠は2人のために増設された。「呪縛のマリオネット」の演出では2人を模した操り人形が登場し、他のキャラとは異なる扱いを受けている。ジンペイの「操り人形」と、コマくんの「困り果てたピエロ」。同じ括りで描かれながら、その含意はおそらく違う。
ジンペイはコマくんの前でだけ口調が変わる。現在の口調より幼くて素直で、甘えたニュアンスがある。意識して変えているというより、コマくんの前では戻ってしまうに近い。元々小学生以前のジンペイはこの口調だった。
つまりコマくんは、ジンペイが「いつものジンペイ」をやる前から知っている唯一の存在だ。
ジンペイがコマくんに対して信頼ゆえの雑な態度や甘えを出す描写は複数ある。ただし本気で怒らせないラインは常に見極めている。ジンペイにとってコマくんへの甘えは、信頼の表れであると同時に、どこまで許してもらえるかを確かめる行為でもある。
初対面でジンペイはコマくんが持っていたキーホルダーを目ざとく見つけ、オタク話で距離を詰めに行った。ジンペイが自分から距離を詰めるのは、共通点を感じた相手か、救わなければならないと感じた相手だ。コマくんの場合は前者だった。
コマくんはジンペイを救ったわけでも、ジンペイに救われたわけでもない。ただ最初からそこにいて、ジンペイが戻れる場所になっている。ジンペイの周囲にいるほぼ全員が、ジンペイとの間に「救う/救われる」の非対称性を持っている中で、コマくんだけがその外側にいる。
それがたぶん、コマくんがジンペイにとって特別な理由だ。