記事8「漆黒丸と変身の意味 ── 黒だけが本当の色」

ジンペイの変身形態は、強化されるにつれて色が変わっていく。紅、黄、青、白。変身を重ねるごとに日が落ちて夜に近づくような変化をたどる。そして最終的に行き着くのが漆黒だ。

対照的なのがラントで、こちらは黒から始まって色味が明るくなり夜明けに近づいていく。二人の変身の色の変化が、そのまま対になっている。

漆黒丸には他の変身形態にない特徴がいくつかある。

まずジンペイ本人の声で喋る唯一の形態であること。他の変身形態はそれぞれ相方の人格が乗った形で動くが、漆黒丸だけはジンペイの意志と人格が直接出ている。

次に変身時の表情だ。漆黒丸への変身時のみ、ジンペイが歯を食いしばって苦しそうな顔をする。どれだけ切羽詰まった状況でも軽口を叩くジンペイが、この変身のときだけは苦しさを隠せていない。

色材の三原色で考えると、ミケッティオ(3猫)はマゼンタ・シアン・イエローに対応している。色材の三原色をすべて混ぜると黒に近い色になる。ジンペイはどんな色も受け入れられるが、自身は光にはなれず、黒以外の色にも染まれない。「俺の漆黒に染まれ」という言葉はその象徴として読める。アースウォーカー系変身は白を纏う形態だが、本体は漆黒だ。どんな色と混ざっても、ジンペイの本質は変わらない。

漆黒丸はジンペイの理想に最も近い形態かもしれない、という見方がある。普段のハイテンションとは異なる、落ち着いたクールな喋り方をしている。顔が隠れているから、という理由もあるかもしれないが、あの状態のジンペイには普段とは違う種類の据わり方がある。この空気感は、映画でジンペイが初対面の九尾に「先輩の正体、暴いてあげます」と言った場面に近い。どちらも静かで据わっていて、余計なものが削ぎ落とされている。普段のハイテンションこそが「やっている」状態で、ああいうトーンのほうがジンペイの地のテンションに近いのかもしれない。

ジンペイは普段「明るくて破天荒なヒーロー」をやっている。でも漆黒丸のときだけは、そのキャラをやる必要がない。顔も隠れていて、相手は誰で、どう見られるかも関係ない。純粋にジンペイの意志だけで動いている。

黒はすべての色を吸収する。光を反射しない。でもそれは暗いということではなく、何も外に漏らさないということだ。ジンペイが普段どれだけ「明るいキャラ」をやっていても、本質のところは漆黒のまま変わらない。そういう読み方ができる。