ジンペイの感情がクソデカ確定なのは、コマくんとマタロウの二人だけだ。他のキャラへの態度と比べると、この二人への向き合い方だけ明らかに違う。ただしその違い方は、二人それぞれで全然異なる。
まずコマくんについて。
ジンペイはコマくんの前でだけ口調が変わる。現在の「いつものジンペイ」より幼くて素直で、甘えたニュアンスがある。意識して変えているというより、コマくんの前では戻ってしまう、という感じに近い。
ここからは描写からの推測になるが、これはおそらく「いつもの口調がロールである」ことと関係している。ジンペイにとって現在の口調は、ヒーローをやるのにより適した形として後から上書きされたものではないか。コマくんとは元の口調のまま仲良くなっているから、今さら変えると今の距離感が壊れる。だから変えられない、あるいは変わってしまう。
コマくんが「ジンペイにとって何者か」を考えると、趣味も含めて自分を受け入れてくれた、かつ普通の人間の輪から少し外れていた同類、という側面がありそうに見える。ジンペイがコマくんにだけ甘えられるのは、そういう相手にしか本来の自分を出せないからかもしれない。
次にマタロウについて。
ジンペイ→マタロウの感情は、終盤にかけて極大になっていく。マタロウが引っ越すと聞いて前フリなく幼子のように泣いた描写がある。最終回では勝手に召喚メダルを作って呼び戻そうとするという、ジンペイにしては珍しく強引な行動に出ている。同じ寮に住むマタロウのタンスのパンツの位置を把握している発言もある。
ジンペイ本人の認識としては、これくらいやっても受け入れてくれる信頼からくる行動だろう。実際マタロウはジンペイの無茶振りに毎回ツッコミを入れてくれるし、一緒にオタク話もしてくれる。
ただし甘えに慣れていない子が「何をやっても受け入れてくれる」相手を初めて得た場合、加減がバグることがある。陣人さんに気を遣って育ってきたジンペイが、保護者に対してすら自発的に甘えていなかった可能性を考えると、マタロウはジンペイにとって初めて「普通に甘えられる」相手だったかもしれない。だから執着が子どもっぽくなる。
一方でマタロウ→ジンペイは、ヒーローへの憧れから始まり、終盤で一人立ちしていく方向に変化する。ジンペイのことを「ヒーロー」として見ており、人間としての側面への解像度はそれほど高くない可能性がある。
矢印の重さが噛み合っていない。
ジンペイはおそらく、マタロウが自分をどう見ているかをある程度把握している。察しが良い子だから。でもそれでも手放せなくて、最終回であの行動に出た。気づいた上で、それでも諦めきれなかった、という読み方ができる。