ジンペイは「自分の意志で戦っている」と思っている。仲間のために、父親の言葉を胸に、強い人になるために。その動機は本物だ。
でも少し引いて見ると、その舞台そのものが最初から設計されていた可能性がある。
Y学園は対宇宙人カウンターのために設立された組織だ。ジンペイたちはその戦力として集められた。強化のために裏でちょうどいい強さの怪異をマッチポンプしていたことも、途中でバラされている。ジンペイも仲間もこれを知っている。ジンペイは「強くなれたから感謝してる」という趣旨の発言をしているが、ジンペイの自己申告はことごとく額面通りに受け取れないキャラクターであることは、補足資料1で述べた通りだ。ジンペイが「自分で乗り越えてきた」と思っていた試練の一部は、誰かが用意したものだった。
ジンペイとコマくんだけが妖力枠という特別な入学基準で入学しており、この枠は2人のために増設された模様だ。教師陣はジンペイとコマくんを「発見した」と本気で思っている可能性がある。一方でエンマ(理事長)は、ジンペイが対宇宙人戦に参加することを最初から知っていたような訳知り顔の反応をしている。学園長だけがしらを切っている可能性もある。
つまり構造としては、一番上だけが全部見えていて、下に行くほど見えていない。ジンペイが「自分の意志で戦っている」と思っていたのが一番下の層だ。
ジンペイの体内には新生妖魔界が建設されている。妖魔界は40年前に宇宙人に滅ぼされており、ジンペイが生まれる前のことにあたる。つまりジンペイが生まれたときから、あるいは生まれる前から、この役割は決まっていた可能性がある。
ジバニャンとジンペイは性格が全く似ていない。転生している他のキャラは転生元との面影がある場合が多い中、ジンペイだけが著しく異なる。作中で「1人に対して1つの魂」とは明言されていない。漆黒=すべての色が混ざった結果、という読み方と合わせると、ジンペイの中に複数の魂が混在しているからこそ妖魔界という大規模な魂の集合の器にもなれた、という見方もできる。
ジンペイは今が一番楽しい、やりたいことをやれている、と思っているはずだ。本編中はそれが本当のことだった。でもその「やりたいこと」の中身が、どこまでジンペイ自身のものだったのかは、また別の話になってくる。